求人募集で企業側が必ず注意すべき「労働条件」について徹底解説

「求人票の記載内容と実際の労働条件が違う」といった申し出は、年々増加傾向にあります。平成27年度にハローワークや関係窓口に寄せられた相談は、1万件を超えています。

 

しかし、求職をする立場として、面接時や入社後に労働条件の相違について企業に申し出るのは、気が引けてしまうという求職者もいるでしょう。

 

そこで今回は、労働条件の相違についての対処方法や、気をつけたいことなどをご紹介していきます。入社した従業員と何かトラブルが起きてしまわないように、きちんと企業側が管理・改善を行いましょう。

求人募集で企業側が必ず注意すべき「労働条件」について徹底解説

1、求人募集をして入社時の「労働条件の明示」が重要なポイント

 

 1−1 労働条件の明示時期

 1−2 求人にあたり、求職者に明示が必要な労働条件の追加項目

 1−3 労働条件に変更があった際の明示方法

 

2、労働基準法に基づく深刻な相違とは

 

3、ケース別トラブルにどう対処するのがいいのか

 

 3−1 面接時の説明で条件の相違に気がついた場合

 3−2 内定決定後、契約書を見たときに相違に気づいた場合

 3−3 入社後に条件の相違に気づいた場合

 

4、求人広告と実際の条件が違った場合は違法になるのか?

 

 4−1 求人広告の条件=労働条件とはいえない

 

5、労働条件と違う求人票にしないためのポイント

 

 5−1 条件の明示をしっかり確認する

 5−2 固定残業代には注意する

 5−3 正社員なのかポジションを明記する

 5−4 求人票の相談先を設ける

 

6、まとめ

  • 1、求人募集をして入社時の「労働条件の明示」が重要なポイント

求人の際に押さえておくべき改正点ですが、具体的には、求人の際に記載すべき労働条件の「時期」・「項目」・「方法」に関するルールが改正されているので、注意が必要となります。内容としては次のとおりです。

1−1 労働条件の明示時期

求職者に労働条件を明示するタイミングに「変更・追加・削除事項が生じた時」が追加されました。

 

1.新規の労働者募集に伴い、募集要項や求人票を公開する時

2.【今回の追加事項】すでに公開している労働条件に変更・追加・削除事項が生じた時

3.労働契約締結の時

 

もちろん、当初明示した労働条件に変更が生じることは望ましくありません。

 

しかしながら、採用活動の過程でやむを得ず労働条件を変更する可能性がある場合、事前にその旨を明示、変更後は速やかにその内容を応募者へ明示することが義務となりました。加えて応募者からの求めがあれば、労働条件が変更されるに至った理由について、会社側はそれを説明しなければなりません。

 

1−2 求人にあたり、求職者に明示が必要な労働条件の追加項目

今回の改正に伴い、新たに明示が必要となったのは下記の5項目です。

 

1.試用期間の有無・期間

2.裁量労働制を採用している場合の「みなし労働時間」

3.固定残業代を支給している場合の「金額」、「手当が時間外労働何時間相当のものか」、「○時間を超える時間外労働分の割増賃金を追加で支給する旨」の明示

4.募集者の氏名又は名称

5.派遣労働者として雇用する場合、雇用形態を「派遣労働者」と明示

 

固定残業代を採用している場合、これまで、固定残業代を基本給に含める形で記載していた会社もあるのではないでしょうか?

 

今後は「基本給」と「手当・時間数」を区別し、なおかつ固定残業代の範囲を超える時間外労働に関しては、追加で割増賃金が支給される旨を明記していきましょう。

 

1−3 労働条件に変更があった際の明示方法

求人情報にやむを得ず変更が生じた場合には、下記方法により「変更箇所」はどこか、変更前後でどのように変わったかを明らかにする必要があります。

 

1.変更前後の労働条件を対照できる形で、書面を応募者に交付

2.労働条件通知書等の変更部分にアンダーライン・マーカーを引いて応募者に交付

3.労働条件通知書等の変更部分について、別途注意書きを添付して応募者に交付

 

その他の詳細は厚生労働省のホームページに記載されていますので、ご参照ください。

 

出典:厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ~労働者の募集や求人申込みの制度が変わります」

 

  • 2、労働基準法に基づく深刻な相違とは

求人票の労働条件は「見込み」であり、実際提示された労働条件と異なっていても違法性はないことが多いですが、「労働条件の明示」内容と実際の労働条件が異なっているとなると話は変わってきます。

「労働条件の明示」とは、労働条件を書面で表した「雇用契約書」や「労働条件通知書」を指します。実際の労働条件が違う場合、労働者は明示された条件通りにするよう会社に要求する権利があります。(労働基準法第15条)

 

「今、資金繰りが厳しいので、来月から給与を減らす」というような、会社側の一方的な労働条件の変更についても同様です。労働者に不利益な条件に変更することは、労働契約の約束違反として認められるのです。

 

しかし、労働者の同意があった場合は別です。会社から一方的に労働条件の変更を突き付けられたにもかかわらず、それを黙認して働き続けると、同意があったとみなされてしまう場合があるので注意が必要です。

 

気になることがあれば、速やかに会社に確認することが大切です。

3、ケース別トラブルにどう対処するのがいいのか

実際の労働条件が違う場合、発覚したタイミングによっても対処方法が変わってきます。

 

ケース別で見ていきましょう。

3−1 面接時の説明で条件の相違に気がついた場合

面接時の説明で、労働条件の相違に気が付いた場合、企業側が単純に間違えているという場合もあるので、その場で企業側に確認するのが1番です。

 

しかし、採用を希望する立場としてはなかなか確認しづらいでしょう。

 

そのようなときは、ハローワークで紹介された求人の場合はハローワークへ、転職エージェントの場合は担当の転職コンサルタントへ相談することをオススメします。

 

事が進んでしまうと取り返しがつかないことになってしまうので、発覚した時点で速やかに対処することが大切です。

3−2 内定決定後、契約書を見たときに相違に気づいた場合

内定決定後、「雇用契約書」や「労働条件通知書」の内容で相違に気づいたときは、企業側に申し出しましょう。

 

それでも改善されない場合は、ハローワークの求人であればハローワークに相談するのも手です。改善がないようであれば、内定辞退も考えましょう。

 

せっかく内定が決まり、再度転職活動をするのは手間ですが、従来の労働条件と相違のある労働契約を結ぼうとしている企業に残って働いたとしても両者にとって良い結果になることはありません。

3−3 入社後に条件の相違に気づいた場合

まずは会社に申し出ましょう。それでも改善がない場合は退職を検討することをオススメします。

 

本来、退職に関しては就業規則等で退職の何日前に申し出なければならないかが明記されていますが、今回のように「雇用契約書」や「労働条件通知書」の内容と、入社後に実際働き始めてからの条件が違っていた場合は、契約した労働契約をすぐに解除することができます。

 

労働者が自由に退職することができる権利は法的に認められており、会社が無理やり退職を引き留めることは違法になってしまったりするからです。

  • 4、求人広告と実際の条件が違った場合は違法になるのか?

ハローワークで公開されている情報やコンビニなどで販売されている求人情報誌、インターネット上の求人情報サイトや転職サイトなどには、各企業が提示するさまざまな求人広告が記載されています。

 

ところが、実際に転職して勤務をはじめると求人時とは条件が異なっているというケースも実際のところあります。

 

想定していたよりも好待遇であれば問題ないかもしれませんが、求人時の条件よりも全く違う待遇であれば問題です。

4−1 求人広告の条件=労働条件とはいえない

求人広告の条件をみた転職者は、記載されている条件で働かせてもらえると考えるはずです。労働時間、休日数、給与・ボーナスや各種手当の支給、福利厚生など、新たな勤務先にこれからの生活を託すことになるので、実際の条件が異なれば大きな問題となるでしょう。

 

実は求人時に提示された各条件と実際の労働条件が異なっていても、直ちに違法であるとはいえません。

 

求人票や求人情報誌などに掲載する求人は「労働契約の申し込みの誘引」にあたります。掲載する条件はあくまでも見込みにすぎないため、求人広告の条件がそのまま労働条件とイコールにならなくても、直ちに違法とはいえないのです。

 

労働契約というのは、採用前の面接などで実際の労働条件を提示され、求職者がこれに合意することで成立します。

 

そのため、求人などに提示された条件と実際の労働条件に違いがあったとしても、求職者が最終的に実際の労働条件に同意して契約を結んだのであれば、その契約は基本的には有効に成立となるのです。

5、労働条件と違う求人票にしないためのポイント

それでは、労働条件と違う求人票を作成しないためのポイントについてご紹介します。

5−1 条件の明示をしっかり確認する

まずは、情報の明示を心がけることです。

 

求職者は応募する会社の業務を担当したことがないため、業務に関する知識は全くありません。そのため、できる限り鮮明にイメージが伝わるよう条件を明示し、後に間違いがないように確認していくことが大切です。

 

条件を記載する場合は、業務内容を事細かに洗い出し、全く業務に携わったことのない方でもわかりやすく記載する必要があります。ちなみに業務内容など、変更の可能性があり、条件を明示できない場合もあるでしょう。その場合は「条件を変更する可能性がある」という旨を記載し、求職者と会社の意見の相違が生まれないようにしておきましょう。

5−2 固定残業代には注意する

固定残業代制度に関してです。固定残業代を設定する場合、求人票に記載していくことが求められます。具体的には、基本給と固定残業代、各種手当を分けて記載し、わかりやすく示すことが重要です。

 

この条件が明記されていないと、労働基準法的に問題が起こるケースもあるため、注意が必要です。

5−3 正社員なのかポジションを明記する

正社員かどうかを明記することが大切です。正社員と非正規雇用者の扱いは異なります。正社員として実施しなければいけない業務や、非正規雇用者であることで実施しなくても良い業務などが変わってくるため、正社員なのかなどポジションはを求人票に明記することが重要となってくるでしょう。

5−4 求人票の相談先を設ける

求人票の相談先を設けることは重要です。

 

求人票の相談先を設けることで、従業員から求人票に関する質問を投げかけられた場合に、すぐに対応できます。また、求職者の相談があったときに素早く対応できる部署を設けておくことも重要となるでしょう。

 

会社内の業務負担の少ない部署があるなら、そちらに求人票の相談先を設定しておくと親切でしょう。

 

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6.まとめ

いかがでしたでしょうか。求人を出す際に自社が求めている求職者への内容の相違があると後々、対応が大変になってしまう可能性があります。求人募集を出す際は、明示をしっかり確認することが大切になってきています。

 

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